Q.
円高だとどうなりますか?
A.
円高が進むと、日本企業の海外売上高が減少し、利益水準が低下することから、海外投資家から見て日本株を買いにくい状況になります12. また、円高により日本企業の製品価格が海外で競争力を失い、海外市場でのシェア縮小につながることもあります13. ただし、円高により輸入物価が下がり、企業の原材料費や燃料費が低下するため、企業業績に良影響を及ぼすこともあります43.
円高と輸出企業への影響
円高とは、上記で述べたように、日本円が外貨に対して高くなることを指します。
この状況が続くと、日本の輸出企業にとって海外市場での競争力が低下するため、収益が減少します。
通常、日本の企業は海外に製品を輸出して収益を得ていますが、円高になると輸出品の価格が高くなり、海外市場での競争力が低下します。
例えば、日本の自動車メーカーが海外に販売する際に、円高になると製品の価格が高くなってしまい、海外の競合他社に比べて不利になるため、需要が低下する可能性があります。
具体的には、円高になると、海外から輸入した原材料や部品が安くなるため、製造コストが下がることがあります。しかし、海外市場での製品価格が高くなるため、輸出企業の収益が減少し、業績が悪化することがあります。また、円高になると、輸出先の国の通貨との為替レートが不利になり、輸出企業の競争力が低下することがあります。
輸出企業の収益が低下することが予想されると、投資家たちは株価の下落を予測して売り注文を出す傾向があります。
円高が進むと、輸出企業の収益が減少することから、株価が下がるとの予測が一般的です。
ただし、円高が進んだ場合には、輸入企業にとっては有利な環境になるため、輸入企業の株価が上昇することがあります。
円高と海外投資家の動向
円高が進むと、日本国内の企業の株価が下がるため、海外投資家が株式売却をする傾向があります。
これによって、日本国内の株価が下がる可能性があります。
円高と金融政策の関係
円高が進むと、日本の中央銀行である日本銀行は、インフレ抑制などを目的とした金融政策を実施することがあります。
例えば、日本銀行は、長期金利を低く保つために国債を購入する「イールドカーブコントロール」政策を実施しています。この政策が株価を下支えすることがあります。
イールドカーブコントロール
イールドカーブコントロールとは、中央銀行が長期金利を意図的に低水準に抑えることで、長期金利と短期金利の間のイールドカーブをコントロールする金融政策の一つです。
イールドカーブとは
異なる期間の国債利回りをつなげた曲線のことで、短期金利が低い状態が続くと、長期金利との差が縮小し、逆に短期金利が高い状態が続くと、長期金利との差が拡大する傾向があります。
イールドカーブコントロールの効果
①中央銀行は、イールドカーブの形状が経済に与える影響を重視し、長期金利を低水準に抑えることで、低金利環境を維持することができます。
これにより、低コストでの借り入れが促進され、企業や個人の投資や消費を刺激することが期待されます。
②インフレーションの抑制にも効果があります。
長期金利が低い状態が続くと、企業や個人の投資や消費が増加し、経済が活性化します。
しかし、過剰な投資や消費が発生すると、物価が上昇し、インフレーションが進むため、中央銀行は、イールドカーブの形状を調整することで、インフレーションを抑制することができます。
インフレ抑制の金融政策
インフレ抑制の金融政策とは、中央銀行が通貨の価値を維持するために行う政策の一つで、インフレーション(物価上昇率)が過剰に高くなることを防ぐために、金融政策の手段を使って経済を調整することを指します。
具体的には、中央銀行が政策金利を引き上げたり、市場から資金を引き上げたりすることで、経済全体の資金量を減らし、物価上昇を抑制します。
また、政府が財政政策を行い、予算削減や税金引き上げを行うことで、経済の成長を抑制することがあります。
インフレ抑制の金融政策は、インフレが進むと通貨の価値が低下し、物価上昇によって消費者の購買力が低下することを防ぐために行われます。
しかし、インフレ率が低下しすぎると、デフレーション(物価下落)や景気後退のリスクが生じるため、中央銀行や政府は経済全体のバランスを見ながら金融政策を行う必要があります。今なら無料のオンライン講座!投資の達人になる投資講座
まとめ
為替相場の変動は、輸出企業にとって重要な要素の一つであり、円高円安の状況によって、輸出企業の業績に大きな影響を与えることがあります。
円高が続くと、輸出企業の業績低下や外国人投資家の株式売却によって株価が下落することがあります。しかし、輸入品のコスト低下や国内消費活動の活発化など、円高によって株価に影響を与える要因は複数あります。
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